Complete text -- "あの頃の自分の事"

10 January

あの頃の自分の事

このタイトルは,全集の No.2 に含まれるものですが,書き出しがちょっと面白いんです.

「以下は小説と呼ぶ種類のものではないかも知れない.そうかと云って,何と呼ぶべきかは自分もまた不案内である」

これも小説家のテクニック,と言えばそれまでかもしれませんが,実際,龍之介自身,小説らしくない小説として書く事を楽しんでいる節がある,と思っています.

テクニックは,ある程度は学ぶことが出来る類いのものもあるかも知れませんが,洞察力や記憶力は,その人の力量が示される部分でしょう.洞察力も,努力すればある程度は培うこともできそうですが,記憶力,これについては,全く自身がありません,はい.

でも,小説家になれないからと言って,小説家になることを諦める理由にはならないと思っています.この小説の最後は,こう締めくくられています.

「自分はアスファルトの往来に立ったまま,どっちへ行こうかなと考えた.」

これなら,僕にもできますから...♪


22:55:42 | dk | |
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