12 October

偶然にも カイン

自分で自分の殻を破ろうと思いつつ,なかなか破ることができない.でも,普段は目を背けていて,気がついたら時が過ぎていた...
ということは,しばしばなのですが,そんな人にポンちゃん(山田詠美さん)が薦める一冊が,この カイン ではないでしょうか.

正しく怒り,正しく反抗する.
そんなことを教わって来なかった若者が,或は大人が,突然キレる.
作者の中島義道さんが言う「不器用さ」を育んで来た人の中には,僕も含まれていそうなので,参考にしようと思って現在読んでいる本です.

ちなみに,カインは,旧約聖書に登場する人物の一人で,アダムとイブの間に出来た長男の名前.
弟のアベルを殺した罪で追放される...というお話らしいのですが,子供の頃,キャンプが面白くてボーイスカウトに所属していた僕の記憶には,全く残っていません.

ところで,ここ数日,約1年前に購入した DVD「Walk The Line」を引っ張り出し,英語字幕で見直しているのですが,Disk の始めの方にあるメニューの中に,「非公開シーン」が幾つか収録されているのに気付きました.
購入時には気付いていなかったメニューで,見てみると,最後に教会のシーンが出てきて,牧師さんがカインとアベルの話を取り上げているのを知りました.

映画のワンシーンに使われたカインの話,結局は非公開になったようですが,なるほど,この映画のストーリに使われる理由が,カインという本を読みかけている御陰で理解できて,最近では珍しい「偶然」を見つけた気がしています.

宝くじは,何度買っても最高で1万円止まり.
人生が大きく変わるほどの偶然には出会ったことがありませんが,強く印象に残る偶然は,幾つか思い出すことができます.
カインの話も,そんな記憶の一つになりそうです...


15:29:03 | dk | No comments |

13 September

ポンちゃん御薦めの「秘事・半所有者」

昨年,会社を退職して通勤から解放された一方で,文庫本を読む時間は減少してしまいました.
弊害,とまではゆかないまでも,電車の中で時々文庫本を読むのは,ちょっとした習慣でした...

山田詠美さんの本は,好きか嫌いかがはっきり分かれそうな気が,なんとなくしますが,「切ない」話に惹かれる人の一部がファンになっていそうです.
その詠美さんが御薦めの一冊「秘事・半所有者」を,ようやく読み終えました.
普通ならもっと早く読み終えるのに,買ってから読み始めるまでに一年位?,読み始めてから読み終えるまでに3,4ヶ月?,掛かったように思います.

「秘事」は,一組の円満な夫婦の生活が主題なのですが,基本的に夫の視点から描かれています.
回想録のような感じで,時代が前だったり後だったりすることもあり,普通の小説とも少し違った感じのお話です.
ポンちゃんの「御薦め」が無ければ,本屋で見つけても,そのまま見過ごしてしまった一冊かも知れないのですが,読んでみて,「幸せな夫婦って,こんなものなのかも」という,羨ましいというよりは,何かお手本のようなイメージを持ちました.
そして,やっぱり何か切ないものも伝わってきます.

ちなみに,amazon で「秘事」を検索すると,「この商品を買った人はこんな商品も買っています」には,山田詠美さんの「ご新規熱血ポンちゃん」「風味絶佳」と,河野多恵子さんの「文学問答」が出てきます.
「風味絶佳」の本は,現在,うちの本棚で読まれるのを待っている状況.かなり前に買ったはずなんだけど...

ポンちゃんの御薦めは他にも色々ありますが,作者の生きた時代や背景に関わらず,読んでみると「なるほど」と思うような,何か共感できる点があり,初めて読んだ作家の本でも,ほとんど違和感なく入って行けます.
なお,「半所有者」の方は,普段は決して語られる事のない男の歪んだ一面,でも,ひょっとすると究極(?)の愛情,とも思える衝撃的な短編ではないでしょうか.

ちなみに,比較的初期の頃の作品で取り上げられていた記憶があるのですが,「切ない」にぴったりする英単語が見つからない,のだとか.
勿論,辞書には幾つかの近い意味の単語が載っていますし,パックンが「英語でしゃべらナイト」の中でも,これに相当する単語を紹介していたこともありますが,詠美さんにとっては,一語でピッタリくる英単語がない,らしいです.

訳がないと分からないことはしばしばですが,訳がなくても,その国の言葉そのものが理解できることの方が,本当ははるかに重要なんでしょうね.
そう考えると,せめて,日本語らしい日本語は,きちんと理解できるようにしておかないと,と思ってみたりします...


20:19:00 | dk | No comments |

10 May

日はまた熱血ポンちゃん

「やまだ・えいみ」さんは,僕が好きな作家の一人です.
ポンちゃんシリーズは沢山ありますが,暫く前に読み終えたのは「日はまた熱血ポンちゃん」というタイトルの本.ポンちゃんの熱血ぶり(?)が紹介されていています.

詠美さんのこのシリーズでは,とにかく酔っ払った話が多い!.どうしてそんなにしょっちゅう飲んでいられるのか,不思議に思うくらい,飲んだり party したりする話が出て来る.合間(?)に仕事をこなしているとは言え,人生を enjoy している姿は見習うべき所が多々あります(と,思っています).

この本を読む前に,「PAY DAY !!!」という別の本を読んだのですが,「PAY DAY !!!」の中には,911の同時多発テロを詠美さんなりに題材に取り込んでいます.そして,その題材がどうして熟成されたかを,「日はまた熱血ポンちゃん」の中で少し述べていることが分かりました.
小説が出来るまでに,どんな過程を踏むのだろう,と時々読んでいる側なりに考えるのですが,書き始める前に仕込んでおく様子をなんとなく理解できたような気がしました.

「PAY DAY !!!」については,また別の機会にご紹介するとして,熱血ポンちゃんには他の人の小説も色々と紹介されています.現在,その中でも文庫本で出ているものを二つ見つけたので,そのうち読み終えたら,また何かの折にご紹介したいと思います...


22:43:07 | dk | No comments |