Archive for 07 April 2011

07 April

見通しの立てられない冷却作業

日本のニュースを見ても分かりにくい,と思うことの多い原発の中身.
海外のニュースの方が,よりテクニカルな情報を載せていて,私にとっては分かり易い場合も少なくありません.

例えば,

Japan Earthquake and Tsunami Multimedia

を眺めると,より具体的な説明図が見つかります.

日本のメディアがニュースで説明している図は,あまりにもはしょり過ぎていて,まるで子供向けの説明に思えてきます.
もっとも,そういう視点で作られている,とも理解できますが,科学技術に関する keyword に対しての日本人の知識は,アメリカ人と比べてずっと乏しい,という指摘もあります.


窒素を導入することで,水素爆発の危険性を一時的に低減できますが,大量の水が蒸発し続けているはずなので,(定かではありませんが)放射性ガスが,ある程度常にリークさせられている,と予想されます.

水位を上げようと流入させる水の量を増やすと,高温の燃料棒に触れて蒸発する水の量が一気に増え,内部の圧力が更に上昇すると共に,発生する水素の量も増えます.
窒素の導入は,今回だけでは済まず,継続的に必要になるでしょう.


循環系が正常に機能するのは,燃料棒が水面下にあることが前提となっています.
放射線強度が強く,作業が進んでいない循環系が制御できるようになるかどうかも疑問ですが,これまでの東電の対応を見る限り,露出している燃料棒は,メルトした状態になっているとしても,メルトダウンして水面下に崩れ落ちている割合が必ずしも多くない,と推測されます.
露出した高温の燃料棒が水面上に多く残っていなければ,水位を戻し,炉の温度ももっと低減させることに成功しているでしょう.

水冷以外の方法は,原子炉全体を冷却する設備が整わない限り,考えられません.従って,水冷は続けざるを得ないことになります,
その一方で,水位を上げると爆発の危険性が出る,となると,放射線量は増えることはあっても減ることはない,従って,冷却設備の復帰も容易にできない...スリーマイル島よりも深刻な理由が,ここに見えてきます.


燃料棒を水面下に維持していれば,こんな事態にはなりませんでした.
事態の深刻な悪化は,燃料棒を露出させてしまったところから始まっています.
廃炉にする決断がもっと早ければ,高い確率で回避できたでしょうから,当局にとっては,まさに痛恨の極みでしょう...


22:11:10 | dk | No comments |